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世界の戦闘糧食を「実食」しよう!【アメリカ軍編】
そもそも戦闘糧食(コンバット・レーション)とは何か?
軍隊で消費される携行型の食品のことです。
想像して下さい。兵士は過酷な環境の中、ジャングルにいても、敵を偵察するためにボロ小屋に張り付いている間も、空腹を満たす(というか、生きるためにカロリーを摂取する)必要があります。
コンバット・レーションの価値はそこにあります。保存性や味に影響を及ぼす、など幾多の苦難を乗り越えて作られた戦闘糧食は、その国の文化や思想を凝縮したエッセンスと言えます。
というわけで、そのレーションを「実食」することで、家にいながらの異文化理解を目指そうではありませんか。
本レポートは、MOMCOMのEC担当部が、実際にその国の軍で食料として使われている、いわゆる「ミリ飯=戦闘糧食(レーション)」のレビュー(感想)をレポートでお届けするものです。
「MRE」=Meal, Ready-to-Eat(すぐに食べられる食料)という意味です。
「MRE」=Meal, Ready-to-Eat(すぐに食べられる食料)個人向けの携帯戦闘糧食のことです。
米軍では、このMREレーションが1975年に正式に採用されました。
カロリー摂取を優先したため、圧倒的にマズい味付けとなってしまった過去
このMREレーション。今でこそ改良されて美味しくなってますが、昔は激しく不評でした!!!!! その理由は
- いかなる環境でも持ち運べる携帯性
- いかなる環境でも食べられる保存性
を優先した結果、味つけがないがしろにされてしまい、一時期は全兵士の約半数弱が完食すらできないクオリティとなってしまったからです。
一時、兵士の間では、以下のような不名誉な略語で皮肉られたことは有名な話です。
Meals Rejected by Everyone (全員から拒否られた食べ物)
Meals, Rarely Edible (ほぼ食えない食べ物)
Meals Rejected by the Enemy (敵にすら拒否された食べ物)
Materials Resembling Edibles (食べ物に似た何か)
そんな背景もあって、この米軍MREレーションは「戦闘糧食(レーション)、ミリ飯」=不味いというイメージを植え付けてしまった戦犯として知られています。
[voice icon=”https://momcom.site/wp-content/uploads/2018/02/2ed9b2aa7dc092e6be107d71b1936ce4.jpg” name=”MOMCOM” type=”r”]その証拠に、数年前MOMCOMがミリメシブームの火付け役として多くのレーションをお客様にお届けしている時、「アメリカ軍のミリメシ(レーション)って美味しくないんですよね^^;?」というお尋ねを何度も頂いたものです。[/voice]
世界最強の軍隊は、何を食べているのか?(実際に食べました)
気を取り直して、「悪い前評判を吹き飛ばしてくれ!」という思いで食べてみました。
見た目のデザインは、デザート・ベージュ色の厚いビニールに梱包され、普段スーパーで売られている非常食とは明らかに風格が違います。
[aside type=”normal”]中身:ミートボールのマリアナソース/チェダーチーズプレッツェル/粉末ジュース(レモンライム風味)/チーズスプレッド/ローストピーナッツ/ホワイトブレッドx2/ピザ・シーズニング/FRH(無炎式糧食ヒーター)/ホットビバレージパック/スプーン/アクセサリーパック(ガム/マッチ/ウェットタオル/ちり紙/砂糖/ヨウ素剤添加塩/粉末コーヒー/粉末クリーム)[/aside]
全部で24種のメニューが存在し、中にはベジタリアン向けや宗教者のものも存在するそう。
1パック1食分で、行動しながら食べられるスナック類が多いのが特徴ですが、何と言っても最大の特徴はFRH!
[aside type=”normal”]「FRH」とは、フレームレス・レーション・ヒーターのことで、水だけで加熱できる化学ヒーターです。12分で227gの料理を50度以上に温めることができます。[/aside]
水を注ぐだけで熱の出るヒーターは、光や煙を出さない上、雨風の影響も受けません。
水を注いで10分ほどで、温かい料理とコーヒーが完成です。
[aside type=”warning”]ここで注意すべきなのが、FRHはマグネシウムと水の化学反応で熱を生み出すということで、その過程で水素が発生する。(化学式はMg + 2H2O → Mg(OH)2 + H2 + 熱)FRHの説明書きにもある通り、火を近づけると爆発する危険性があり、実際に現場でも車両のエンジン付近でFRHを使用し、水素が爆発しエンジンを損傷した例が報告されている。[/aside]
アクサリーパケット(付属品)の魅力
余談ですが、トイレットペーパー(左列中段)が付属してますね。
後、気になるのはブックマッチです。軸が紙製でできており、理科の実験でやったやり方では火はつきません。ペンのキャップを外すように、先端をヤスリにくるんで引っ張ると上手に着火できます。
【肝心のその味は?】米軍MREレーションを食べた感想
- 左上に見えるドギツイ緑色の液体は、ジュースです(笑)。。。エイリアンの体液ではありません。
→水に溶かした(溶けきれてないが)粉末ジュースが蛍光グリーン色です。なにやら劇物を想起させるジュースは意外にも・・・薄味ながらも美味しかったです。
[aside type=”normal”]他国軍のジュースも色がきつい場合がありますが、これは泥水を浄水剤タブレットで殺菌して使うことがあり、泥水の色をごまかすためにわざとキツい色にしているのです。[/aside]
- 今回のメインはミートボール。レトルト臭さを殺すためにバジルのシーズニングをを和えて食べる。美味い。
→特にミートボールはレトルトのわりに味が濃い目で風味も良く、バジルの香りが食欲を引き立ててきます。
- パンが2枚とチーズが入っている。
→パンは多少の薬品臭さが鼻につくものの、米軍特有の濃厚なチーズをつけることで美味しくいただけるし、身の詰まったパンなので2枚食べるとそこそこ満足感で幸せになれます。
- 空パックに詰まったピーナッツは保存食を感じさせない香り高さ。プレッツェルも同様、チーズの匂いがやや強いものの、市販品と大差ない。
→ポリポリかじることで軍隊生活のストレスを癒すのだろうなと想像します。
[voice icon=”https://momcom.site/wp-content/uploads/2018/02/2ed9b2aa7dc092e6be107d71b1936ce4.jpg” name=”MOMCOM” type=”r”]ちなみに、現場ではすべての内容物(粉末コーヒーまでも)をごちゃまぜにして食べることが多いなんて話も(食事は燃料補給程度の扱いなのでしょうか?)[/voice]
評価:星4つ
前評判が悪すぎたので、恐る恐るの実食レポとなりましたが、まあ思ったより悪くなかったので、ギリギリ3よりの星4あげましょう。
アメリカ軍MRE用戦闘糧食(レーション) | 星4 ★★★★☆ |
アメリカ料理というと、不自然に発色するケーキやとんでもない量のブリトーを想像してしまいますが、このMREレーションに関しては別物で、量よりもカロリー重視となってます。
[aside type=”normal”]なぜ量を多くしていないのかというと、満腹感は眠気を誘い、腹に穴が開いた時も中身が多いと食事に時間がかかってしまい、非常時で助かる可能性が少くなるためです。[/aside]
新型米軍レーション:ファースト・ストライク・レーション
米軍には、特殊環境のための72時間用レーションが存在します。
ファースト・ストライク・レーション(通称FSR)と呼ばれるそのレーションは、
戦闘中にもすぐに食べられるサンドイッチやエナジーバーを中心とした、
きわめて暴力的な中身になっています(笑)
[aside type=”normal”]中身の一例:イタリアンサンドイッチ/チキンガーリックハーブ/カフェイン添加チョコレートプディング/チェダーチーズとポテトのスープ/シナモンパン/トルティーヤ/クラッカー/FSR専用クランベリー/レーズン/トウモロコシスナック/デイリーシェイクバニラ/コーヒー/照りテリヤキBBQ風味ビーフジャーキー/STAY ALERT GUM(カフェイン添加ガム)/チャック付きポリバッグアクセサリーバッグ/スプーン[/aside]
たまにZAPPLESAUCEという米軍版ウイダーゼリーや
デイリーバニラシェイクという地獄のようなシェイク(半端ないカロリー量)が楽しめます。
FSRとは、たった1kgちょっとのパッケージに72時間の栄養が詰まっている
戦闘のための戦闘糧食ですね。
次回はイギリス軍のレーションを実食します。お楽しみにー!
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▽世界中のレーションを総まとめ!全部食べてランキング作っちゃいました!!▽
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