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世界の戦闘糧食を「実食」しよう!【イタリア軍編】
本レポートは、MOMCOMのEC担当部が、実際にその国の軍で食料として使われている、いわゆる「ミリ飯=戦闘糧食(レーション)」の感想をお届けするものです。
第4回目はイタリア軍の戦闘糧食!。
「イタリア」と聞くと何を思い浮かべます?
今あなたは青く宝石のように輝く地中海と象牙色の砂浜ビーチに寝そべっています。
目の前には、さっきまでみんなで乗っていた中型客船が波に揺られている。
カラっとした海風を感じる。
開けたてのワインのコルクが置かれたテーブルの横に移動する。
ほどなくして地元の名店シェフを務めるロレンツォさんが料理を運んでくる。
真っ赤なトマトとチーズの旨味がぎゅっと詰まった窯焼きピザ。
獲れたての魚介を使ったシーフードパスタ。
「さぁ、明日は休みだ乾杯しよう(イタリア語)」!!
こんな光景?
それもありです。
ですが、やっぱり我々はイタリア軍レーションを食す方が興奮するんですよね。
イタリア軍レーションはフランス軍レーションと同じくらい美味しいです
イタリア軍レーションは、フランス軍のレーションと味の面で肩を並べます。(人によってはもっと満足できるかも)
イタリア軍レーションは、何よりも市場に出回らないレアさと、それに見合う遊び心が満載なんですよ。
イタリア軍レーションの特徴は何かと言われれば、「食の楽しさを陽気に追求したレーション」です。
それでは、美味しくて陽気な(実用性無視)のレーションをぜひあなたに!
イタリア軍レーションのパッケージから観察しよう!
なかなか入手できないイタリア軍レーション、
もったいないので外側から楽しみましょう!
包装はぶ厚〜いアルミ製。
色はオリーブグリーン。
見た目の迫力(サイズ)・重量共に他国のレーションを圧倒しますね。
手に持ってみると、通勤カバンと(2kg)一緒くらいのズッシリ感があります。
[aside type=”warning”]包装に厚いアルミを使っている理由は、「生物・化学兵器に対抗するため」だと思われがちですが、おそらく食品が傷んでしまうのを極限まで抑えるためです。結果的にそういった兵器にも対抗できる包装になってしまっただけと言えましょう。[/aside]
メニューなどの大事な表記はイタリア語・英語・フランス語ですが、
管理項目はイタリア語のみとなっています。
上から解説すると
- 製造年月:2016
- 消費期限(注1):2018年8月2日
- 納入契約番号(注2):550 DEL 28/10/2015
- NATOコード:8905-15-147-****
- レーション管理番号(注3):016***
[aside type=”normal”]注1:賞味期限ではなく、軍で破棄される時期を示している。業者との契約上、ある一定の保管期間を過ぎたら廃棄処分を行い、不稼働在庫の整理を行ったうえで新規製造のレーションを納入する。 注2:イタリア軍と業者のコントラクトナンバー(契約番号)が記されている。注文書と紐づきになっており、このレーションが納入される契約は、製造の一年前(2015年10月28日)に決まったということだ。こういった契約番号をレーション自体に記載するケースは珍しい。注3:特徴的なのが、このレーション管理番号。この番号は部隊や配属時期と紐づいており、イタリア軍レーションが入手しにくいのはこういった横流し防止措置が厳しくとられているためだ。[/aside]
また裏面にはメニューと内容物が記載されています。
外側はしびれるほどかっこいいので、
中身もきっとカッコいいはず!
早速イタリア軍レーションを開封(OPEN)
まずは、イタリア軍の兵士たちはどのようなものを何を食べているのかを見てみましょう。
袋の中身は3食分(朝・昼・晩)=24時間分の食料が入っている。
分厚い袋を開けると、箱が三つ出てきます。
朝・昼・夜と別れている。あれ?缶詰の影に怪しい小瓶が・・!?
美味しさのトップを争うフランス軍レーションと違う所は、1食ずつ(朝用・昼用・晩用)に小分けされている所でしょう。
イタリア兵士はこの支給されたレーションを開封し、好みに合わせて中身を組み替えて携行するそうですよ。
[aside type=”normal”]中身: ミネストローネ/サラミ/サラダリゾット/ハンバーグ/フルーツポンチ/ビスケット/ジャム2種/チョコレートバー/エナジーバー/ビスケット/ふすまタブレット/ビタミン剤/お酒/コーヒー/レモンティー/砂糖/カトラリー/浄水剤/脱塩剤/ヒーター/固形燃料/歯ブラシ/爪楊枝/ゴミ袋/[/aside]
そういえば、食前酒ってイタリアが起源なのご存知でした?
なんとイタリア軍レーションには<<Cordiale>>(友情、フレンドリーの意味)と呼ばれる40度のグラッパが30ml(食前酒)が入っています!
18世紀の後半にイタリアのトリノから始まったもので、食欲を増進させたり、出席者の会話を弾ませるきっかけに飲む酒をいう。飲む場の性格からして、その後の食事の邪魔にならぬよう、少量の酒を1、2杯程度飲む。(ウィキペディアより)
生まれ育った国の食文化は肉体に染み付きますからね。
イタリア軍兵士「メインの肉汁たっぷりのハンバーグ、トマトの酸味がさっぱりとしたミネストローネ、カラフルで見た目も楽しいリゾット・・・おい食前酒が足りないぞ!」なんて叫びが聞こえてきそう。
食前酒(グラッパ)の小瓶を開けると・・・芳醇な香りが鼻を通って、これから始まる食事のファンファーレにふさわしいじゃないですか!
世界で今でもレーションにお酒を採用している国は他にロシア(ごく一部の特殊なものに限る)しかないので、その意味ではとても珍しいレーションと言えましょう。
酒好きにはたまらないレーションです。(メニューによって入っていない場合もありますが)
【実食】イタリア軍のレーションを食べてみよう
- 1日分レーションは全7種類。
- 酒が入っているメニューと入っていないメニューがある。
- フランス軍レーション同様、他国より先に味覚に焦点を当てており、当たり外れが少ない。
メイン缶+αの味の感想は美味い!でも意外とアッサリ。
食べた感想はこんな感じ。(伝わってほしい)
1<<ハンバーグ煮込み>>:フォークで刺すたびに肉汁があふれ、口の中にスパイスの利いたうま味が広がる。
2<<サイドディッシュのサラミ>>:(なんと厚切り4枚)はクラッカーにもお酒によく合う!
3<<トマトのミネストローネ>>:こってりとした口の中をさっぱりと酸味で満たしてくれる。
4<<サラダリゾット>>:グリーンピースやニンジンの色合いが目を楽しませ、ほのかな塩味が食欲をそそのかす。やや甘みのくどいジャムは塩味ビスケットとよく合い、これも前菜として採用したいくらい。
5<<デザートのフルーツポンチ>>: 成城石井で売っている、ちょっとした記念日に使えそうなお洒落な味。
イタリア軍レーションの評価:星5つ(満点)+α (食を楽しむ観点に芸術点!)
伊軍24時間用戦闘糧食(レーション) | 星5 ★★★★★ |
メインのハンバーグがこってりしてますが、他の料理は意外とアッサリ。
味は海外のレーションとは思えないような上品なレーションです。
イタリア料理が大好きな日本人の舌も大満足でしょう。
おまけに、他の欧米系レーションと同様に色々なおやつやアクセサリーが付属しています。イタリア軍は「おいしさ」だけでなく「たのしさ」も提供してくれるのも高評価のポイントです。
イタリア軍レーションの「ちょっと残念だな」と思う点(5つ)をあえて挙げてみる
- チョコレートバーとエナジーバーは中身が全く同じ物で、味もただのくどいブラウニー。
- ふすまタブレットは小麦粉をそのまま噛んでいるようで、10錠も食べるのは辛い(笑)とはいえ整腸作用が目的なので現場では気にせず食べましょう。
- ヒーター(よくある固形燃料をマッチで燃やすタイプ)が、分厚い鉄で出来た頑丈なヒーターは缶のサイズがあっておらず加熱しにくい。
- そしてヒーターの固形燃料に火がつくと、”バンバン”と小さな銃声のような音を立てながらハジける燃え方をするので火の粉が飛んでくる(笑)
- ガムがなぜか付属しない。イタリア人にはガムは邪道なのか?!
それでも特徴のあるイタリア軍レーションは憎めない(歯ブラシ)
まさか、歯磨き粉とトゥースピック付きの歯ブラシが3本も付属するなんて思わなかった!
「いい男と女は白い歯を持つ」の信念が、まさか必要最低限の備品しかいらないレーションにまで浸透しているとは。。。
なんてオシャレの自己主張が激しいレーションなんでしょう。
歯ブラシの使い心地は悪くなかったです。硬めのブラシは汚れを良く落としてくれるし、歯磨き粉も悪くありませんでした。
それでも特徴のあるイタリア軍レーションは憎めない(ゴミ袋)
最後に、もっとも印象に残ったのがおしゃれなゴミ袋。
ごみ袋が雑貨屋に売っているレベルの小洒落た紙袋(×3袋付属)。
水漏れや耐久性は意に介さず、魔女の宅急便のキキよろしく、きれいな紙袋を小脇に抱えるなんて、素敵じゃないですか!
スーパーマーケットでもフランスパンは袋に入ってた方がおいしそうに見えますよね?
イタリア軍レーションは全力で「食の楽しさ」を追及しているのです。
美味しいイタリアレーションを食べて非日常を感じて、おしゃれなゴミ袋を日常生活で使ってみてはいかがでしょう。
次回はロシア軍レーションです。
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▽世界中のレーションを総まとめ!全部食べてランキング作っちゃいました!!▽
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