世界の戦闘糧食を「実食」しよう!【カザフスタン軍レーション編】
本レポートは、MOMCOMのEC担当部が、実際にその国の軍で食料として使われている、いわゆる「ミリ飯=戦闘糧食(レーション)」のレビュー(感想)をレポートでお届けするものです。
第8回目はカザフスタン軍の戦闘糧食です。
カザフスタンってどこ?危ないところじゃないの?
もしかして、「~スタン、」と聞いて
アフガニスタンを連想しませんでしたか?
カザフスタンはユーラシア大陸の真ん中に位置する、ロシアと中国に挟まれた
雄大な草原国家です。石油やガス、ウラン等資源輸出で大変儲かっており、
2017年には首都アスタナで国際博覧会も開催し、急速に発展を遂げている国です。
アフガニスタンと一緒ではないです。
ソ連の中のカザフスタン
今は輝かしく発展するカザフスタンですが、1991年まではソ連の構成国家の一つで、
ソ連の中央アジア政策の前哨基地として最もソ連化(ロシア化)が推進された土地でした。
中央アジア・・・カザフスタン・ウズベキスタン・トルクメニスタン・タジキスタン・キルギスの5カ国を指す。
その為、ソ連はカザフスタンに強力な軍隊を保有していましたが、崩壊後は核弾頭を含めカザフスタンに残されました。
ソ連軍を正当に引き継いだカザフスタン軍、
どんなものを食べているのか、気になりますよね!?
カザフスタン軍レーションは、やはりソ連軍レーションだった。
言語は2つで表記
カザフスタン軍レーションなのに、カザフ語じゃなくてロシア語表記が!?
カザフスタンは多民族国家なので、ロシア語も併用されています。
カザフ軍の指揮系統もカザフ語とロシア語が併用されている部分がかなりあり、ロシアとの軍事的な交流も多いため、
ロシア語併記だと色々と好都合なのでしょう。このレーションもロシア軍が合同演習で使用するケースがあるそうです。
カザフスタン軍レーションを開封!
カザフスタン軍レーションのパッケージはダークグリーン色で、
いかにも軍用といった重厚感を醸し出しています。今回開封したのはIRP-Oというタイプ。
パッケージが3つ連なっていますが、
- 朝食
- 昼食
- 夕食
となっており、ハサミで切り離して消費しろと指示がされています。
パッケージには、さらに圧縮ビニールで巻かれた1食分が入っています。
しかし外側の袋が破けやすいので、レーションを持ち運ぶのではなく、
中身を取り出して適当にバッグに詰め込むスタイルなのでしょう。
カザフスタン軍レーションの中身
見てください。
飾り気ゼロ、
これぞ真の戦闘糧食です。
ソ連軍時代のレーションと同じく、必要最低限の数量で高カロリーを補給できる仕様となっており、加熱道具やカトラリーは一切付属せず、行動中のカロリー補給は粉砂糖を飲め、浄水剤?甘えるなよ。水分補給は泥水をお茶でごまかしてしろ・・・といった超マッチョでヤクザな世界観です。
こんなに内容量がコンパクトなのに、なんと約3,200kcalあります。
そんなアウトレイジなレーション、どんな味がするんでしょうか?
カザフスタン軍レーション朝食分の組み合わせ
まずは組み合わせを確認しましょう。
なんだか宇宙食みたいですね?
この謎の統一感は旧ソ連のレーションそのものです。
では食べてみましょう・・・
し、シンプルだ・・・!!!
試食レビュー
メインの牛肉と丸麦のカーシャ(お粥)ですが、なんとこれが滅茶苦茶うまい。
開封したときに油がにじみ出てきた気がしますが、この油もまたジューシー。
お粥とは何か?と聞かれたら
「肉」と答えましょう。
ズッキーニとトマトのペースト缶は、カーシャと混ぜて食べるのが正解です。
ロシアレーションではトマトソースがついていますが、
カザフスタン軍レーションは野菜を補うつもりなのか、
ズッキーニペーストが入っています。
味は薄いケチャップのような感じで、
ズッキーニとはそもそも何なのか?となること間違いなし。
また、カザフスタンはリンゴが有名だってご存知ですか?このカザフスタン軍のリンゴジャムも
なかなかナチュラルな味で飽きがきません。
クソほどボソボソするクラッカーに最高に合います。
付属の紅茶ティーバッグと合わせて食べればなお幸せになれるでしょう。
カザフスタンの旧首都はアルマ・アタ(Алма-Ата)という名称で呼ばれていた。これは、カザフ語ではなくロシア語での呼称で、ソ連時代に事実上の公式名称となっていたものである。アルマ・アタ(英:Alma-Ata)は、カザフ語でアルマ(алма)は「リンゴ」、アタ(ата)は「父」を意味するため、「リンゴの父」を意味していた。Wikipediaより
クソ溶けない砂糖
ちなみにこの粉砂糖ですが、精製レベルが袋によって異なるため、
良く溶ける砂糖もあれば、砂場の砂でも入れたのか?と思うほど
全く溶けない砂糖も入っています。
カザフスタン軍レーション昼食分の組み合わせ
カザフスタン軍レーションは、昼食のカロリーが最も多くなっています。
試食レビュー
分かりにくいので、お皿に開けてみましょう↓
肉を塩で煮た料理と肉だらけのボルシチが出てきました。
カザフスタンの肉はヤバいうまい
この牛缶、塩加減と油加減が絶妙で非常に美味しい。日本で売っていたら即買いしそうなレベルです。
ロシア軍レーションの牛缶と並ぶおいしさです。
やはりカザフスタンも寒い(首都アスタナでは-50度まで冬場の気温は下がる)ので、
カロリーと塩分を美味しくとるためには、やはり牛缶は必須でしょう。
このボルシチですが、ビーツ本来の土臭い味わいが肉にしみ込んだブリオンと合わさり、
日本で売られている市販のボルシチ缶なんか蹴り飛ばしてやりたくなる
くらい美味しい!
カザフスタン軍レーション夕食分の組み合わせ
カザフスタン軍は、けっこう夕飯が控えめなんです。
代り映えのしないイカれたメンバー感がいいですね。
ちなみに今回の砂糖は良く溶けました。
試食レビュー
やっぱり肉だらけで「部活飯」なカーシャ
「米と肉のカーシャ」という名前ですが・・・・
お粥といいつつ肉と油のハーモニーが味わえるなんて、夢の世界です。
男子高校生ならカザフスタン軍レーションは両手離しで喜ぶこと間違いなし。
部活でしごかれた後にガツ食いしたいレーションナンバーワンです。
カザフスタン軍レーションのユニークさ
軍の正式採用レーションなのですが・・・
お問い合わせ先のアドレスが
なぜかフリーアドレス
Rambler(ランブレル;英語:Rambler;ロシア語転写:Рамблерラームブリェル)は、ランブレル・メディア・グループ(Rambler Media Group)によって運営される検索エンジンである。ロシアで最大級のポータルサイトのひとつであり、ウェブ検索、電子メール、eコマース、各種電子メディアのサービスを提供している。サイト名は、英語で「そぞろ歩く人」の意味。(Wikipediaより)
消費期限は2年もあるのだけど
内容物:牛肉、米、油、玉ねぎ、塩、黒コショウ・・・だけ?
保存料ゼロのウルトラオーガニックなのに、
本当に二年も持つんですか!?
肉が多い理由
カザフスタン軍レーションに肉が多いのは生産者の怠慢ではありません。
「カザフ人は狼の次に牛肉を食べる」という噂があるくらい、牛肉の消費量が多いカザフスタン。
カザフ人は一人当たり平均50-60kgの肉を消費すると統計上で計算されており、国内の消費が多いだけでなく
国家プロジェクトとして、牛肉の生産量世界一を目指しています。
国家のあり方をよく表すレーションに反映されているのは納得ですね。
世界銀行はカザフスタンの農業部門の近代化を目的とした5億ドルの資金提供を計画していると発表しました。これは、「ロシアと中国における肉の潜在的な消費の可能性」のため、特に家畜を対象としている。https://www.eureporter.co/frontpage/2018/11/01/transforming-kazakhstan-into-a-global-leader-in-beef-production-kusto-embraces-new-technologies/ より
カザフスタン軍レーションの評価:星4つ
カザフスタン軍24時間用戦闘糧食(レーション) | 星4 ★★★★ |
ザ・戦闘糧食といったらこの国しかない。
ソ連軍レーションを正当に受け継いだカザフスタン軍レーションこそ志向。
キザなフランス軍レーション、バランスの取れたイタリア軍レーションの時代はもう終わりだ。
真の戦闘糧食である
カザフスタン軍レーションを知らずして
レーションを食べた事ある、
なーんて言えるんでしょうか(威圧)?
▽世界中のレーションを総まとめ!全部食べてランキング作っちゃいました!!▽
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