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スナイパー(狙撃兵)の戦術について
[voice icon=”https://momcom.site/wp-content/uploads/2018/02/tunnel3.jpeg” name=”ユーリ(Yuri)” type=”r fb”]現役のロシア軍兵士が寄稿した文章ですが、いろいろと読み物として秀逸なので要約してご紹介します。[/voice]
本記事では
- スナイパー(以下、「狙撃兵」)の役割
- 狙撃兵のポジショニング
- どうやって狙撃兵を発見すればいいのか?
- 狙撃兵に狙われないために注意べき3つのポイント
についてお伝えします。
【1】 狙撃兵の役割
狙撃兵の仕事は、[aside type=”normal”]
(A)敵の士気をくじく、
(B)敵の行動を監視する
(C)狙撃兵の責任において、敵とその他目標物の破壊[/aside]ことです。
まず、「狙撃兵無しで軍事作戦を成功させるのは難しい」と思ってください。
多くの軍事作戦の成功を分けるものは「(C)ターゲット(目標)を撃破できたかどうか」です。
そのためには、(A)敵の士気をくじき (B)敵の行動を監視する必要があります。
それができる狙撃兵は洗練され、無慈悲な方法で働きます。そして狙撃兵は、敵の手の届かない位置に留まるためにあらゆる努力を行います。
ゆえに、敵兵の間では、狙撃兵=「目に見えない幽霊」と呼ばれます。
そのため、時として、敵兵の間では、考えるだけで精神的に衰弱する様な「狙撃兵最強神話」が自然と生まれます。
狙撃兵自身も「狙撃兵(スナイパー)に一度狙われたら逃げることのできない」幽霊のような、イメージ通りの存在であり続けようと頑張っています。
つまり、狙撃兵という存在は「一切仕事をしなくとも、神話を植え付けるだけ」(役割(A) 敵兵の士気をくじく)効果があるのです。
こんなこと言うと、スナイパー=サボリ魔みたいな印象が残るかもしれませんが、当然ながら敵狙撃兵も味方の狙撃兵も同じ人間であり、彼らは常に「死にたくない」と思っている事を忘れない様にしましょう。
狙撃兵は、敵兵にその存在を意識させるだけで役割を果たしているとも言えるのです。
強くて、忍耐強く、屈強な狙撃兵
現代の狙撃兵は、極端な事を言うと「ただスナイパーライフルを持っているだけ」でなる事が可能です。何故なら、射撃訓練で平均レベルの成績を収めるだけで良いからです。
しかし、かつての大祖国戦争(第二次世界大戦)ではそうではありませんでした。当時の狙撃兵になれる基準は、「射撃試験において400メートルの距離で、兵士が携行するスプーンに5発中3発を命中させる」技術をもっている人だけでした。
また、訓練されていない狙撃兵は「自分の身を守る」といった原始的な本能を優先して行動してしまいます。
昨日まで農民だった人が、わずかな訓練を経て狙撃兵となり「殺されても構わない」と思う様になると思います?(まさかないでしょう。)
【2】狙撃兵の ポジショニング
アマチュア(経験不足)の狙撃兵は、建物の上層階から狙撃を行う習慣が身についていません。
つまり、経験不足の狙撃兵は、通常の兵士と同じ動き方をしてしまうが故にミスを犯しがちなのです。
経験不足=砲兵による砲撃に遭う確率が高い、戦闘ヘリコプターと対峙する確率が高い=狙撃兵は退路を断たれます。
というわけで、高い位置からの狙撃は非常に有益ですが、狙撃兵は敵から身を守るために鉄壁の狙撃体制を構築する必要があるのです。(不用意に移動すれば、敵兵にやられてしまいます。)
アマチュア(経験不足)の狙撃兵は、部屋の隅に位置取りがち
狙撃兵のグループを壊滅させる方法として、「閃光手りゅう弾」を投げた直後に「グレネード」を3発撃ちこみ、窓から「手りゅう弾」を投げ込むやり方が有名です。
当たり前ですが、こんな事をされたら、狙撃兵は右も左も逃げる場所がないので、そこでおしまいです。
ベテランの狙撃兵は常に生き延びる方法(逃げ道)を用意している
狙撃兵は、狙撃のために常に安全な場所を探しています。
例えば、多くの場合、よく訓練を受けた狙撃兵は崩壊したコンクリートスラブ(天井)の下に座っています。( そこから撃つことは安全なため)。
なぜならば、敵から攻撃を受けたとしても、コンクリート スラブ(天井)の下から移動用の溝にそって安全な場所に避難する事ができるからです。
したがって、敵兵は、感覚的に「ここに狙撃兵がいるだろうな」と考えて攻撃を仕掛けても、すでにそこには狙撃兵はいないパターンがほとんどです。
狙撃兵は大規模な建物のガレキが集まる地点をスポット(陣地)にする
その理由は、逃げる方向がいくつも存在するから。
ちなみに、狙撃兵はその建物のガレキの2〜3m中に隠れるため、硝煙(発砲した時の煙)を隠すことができます。
そしてこのような障害物が密集する位置では、射撃音が消滅します。遠距離から撃たれたと勘違いしていても、実際には近距離から射撃されている、という狡猾な手段を狙撃兵はとるのです。
狙撃兵は、口径が大きめのパイプを掘り起こし、瓦礫などを詰めてパイプを通じて射撃する
これも射撃音を消す(サイレンサーの役割)ため。
あなたが狙撃兵ならば、ガレキの外側に銃口を出さないでください
狙撃時にはその方が、音は少なくなりますし、、煙は外に漏れません。
そのため、敵兵に気づかれにくくなります。
【3】ではどうやって敵の狙撃兵を発見すればいいのか?
「ヘビ(敵狙撃兵)」を排除するためには、「地形」の把握がポイントになります。
その際に絶対に双眼鏡で探索しないこと
すぐ頭を打ち抜かれますよ。
代わりに、潜望鏡(スカウトパイプ、トレンチ潜望鏡、砲兵用のファインダーなど)を使用してください。
[aside type=”normal”]※潜望鏡というのは、潜水中の潜水艦などから筒先だけを水面上に出して,海上(外部)の様子を、本人は中に留まりながら見る装置のこと。[/aside]
加えて潜望鏡を隠す布や、迷彩ネットのスクラップなどを使うことで、敵に見つからず、400メートル先の兵士が携行するスプーンを撃ち落とすことができる狙撃兵を発見することができます。
敵地に向かって前進している間に、怪しい場所をすべて観察してください。
敵側の建物にある小さな隙間、深い暗い斑点(人工的に作られた可能性のある狙撃口)を見つけましょう。
とはいえ、銃眼(銃身だけのぞかせる穴)は小さすぎて見えないので、「仮に自分が敵の狙撃兵だったら、どこに陣地をとるか?」と常に自分に問い続けることで、あなたはすぐに多くのことを予測できます。
どのあたりを探せば狙撃兵を発見できる確率が上がるか?
大前提として、「狙撃兵は射撃後に隠れられない場所には潜まない」と言う当たり前の法則があります。
その上で敵の立場に立って、次の事を考えてみましょう。
- 例えば、あなたが狙撃兵であれば、攻め込まれる確率の低い地雷原にいる方が安全ですよね?
- 例えば、あなたの陣地のどこかにアンテナや通信機がある場合は、敵兵が密集している場所として狙撃候補場所にあがるでしょう。
- 例えば、食べ物がある場所には、敵兵が多く群れるので狙撃候補場所にあがるでしょう。
- 例えば、建物や通路に大きな爆発の跡でできたくぼみがあるとすれば、敵の狙撃兵(監視役)が遠隔で爆弾操作を行なっていた可能性があります。
- 例えば、潜望鏡でみれるような疑わしいスリット(隙間)や穴に注意してください。
- 例えば、どんなに深く敵が隠れていても暗闇の中では射撃の閃光が見られます。 この閃光は敵狙撃兵発見の手がかりになります。
- 例えば、棒に縛りつけた手鏡を不審な場所に置いて輝せたり(敵兵の気を惹く)、銃眼(怪しい穴)に思われる隙間を太陽光線を用いて威嚇すると、奥に的狙撃兵か誰かがいるかどうかすぐに分かります。
- 場合によっては、人形またはカカシをダミーとして使う方法もあります。その際には、必ず2体用意しましょう。狙撃された2つの人形(カカシ)の弾痕の2つの入射角から、射線が交差するポイントを推定します。そこに狙撃兵はいるのです。
【4】狙撃兵に狙われないために注意すべき3つのポイント
ポイント1:近くにぶら下がっているぼろ切れ、包帯、その他のものに最大の関心を払う
これらは、狙撃兵に風の方向と速度を示します。敵のインテリジェンスグループは、常にそのような「天気予報サイン」が近くにないか探しています。
覚えておいてください: 「天気予報サインがあるところでは、狙撃兵を探せ」
ポイント2:たった一発の被弾で倒れた兵士がいた場合、どこから狙われたのかを把握する
いざ撃たれたら焦る気持ちもわかりますが、まず落ち着いて。たった一発の弾丸で負傷した際には、被弾角度を常に確認して下さい。動画が残っている場合は、画像を復元する際にショットの方向を判断できます。
ポイント3:「注意! この場所は狙撃兵によって撃たれます!」のような看板や注意喚起のスプレーを壁にする
これは単純で、狙撃の危険性がある場所で同じような被害者をださないために、チームで連携しておくのです。
現役のロシア軍狙撃兵より、最後に一言
現代の戦争はダイナミックで、誰もあなたを助けようと献身的な努力をすることはありません。
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[voice icon=”https://momcom.site/wp-content/uploads/2018/02/tunnel3.jpeg” name=”ユーリ(Yuri)” type=”r fb”]PART2では、実際の狙撃兵の痕跡やその対処法を画像を交えて解説していきます。[/voice]
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