「人間が歴史から学んだのは、歴史からは何も学んでいないということだ」ー英首相ウィンストン・チャーチル
久々に映画館でガッツリ見たい映画が登場しました
上のチャーチルの名言を聞いて、19世紀のドイツの哲学者ヘーゲルの一言を思い出しました。
経験と歴史が教えてくれるのは、民衆や政府が歴史から何かを学ぶといったことはこれまで一度足りともなく、また歴史から引き出された教訓に従って行動したことなど全くない。ということです。
『歴史哲学講義』
こういう歴史物や、戦争映画は大迫力のサウンドに心を震わせながら、真っ暗な大部屋に閉じ込めらて、見ず知らずの人に囲まれながらポップコーンの脂と塩のついた指でコーラを飲みながら浸って観ると決まってるのです。
映画の前評判(実は試写会申し込んだけど当たらない・・・)は、他の試写会当選者様に任せるとして、
この映画を見る予定のある貴方に、第二次世界大戦でイギリスを勝利に導いた(日本の敵国だったのは置いといて)カリスマ、チャーチルの小話を載せておきます。
少しでも見たくなったら、いや、見たら色々とコメントなりメールで感想教えてください。
チャーチルといえば1945年の7月の選挙で大敗した話が有名
第二次世界大戦も終わりを迎えた頃、連合国軍はイタリアもドイツも倒したので、残る敵は日本のみ。
連合国軍(米・英・中華民国)は、日本軍に対して無条件降伏を求めます。
これがかの有名な「ポツダム宣言」です。
実は、このとき英国では総選挙の真っ最中でした。
チャーチルは、「英国を第二次世界大戦で勝利に導いたこの俺様が落選するわけない」
と思っていたのでしょう。
しかし、実際に英国の首相に選ばれたのはチャーチルではなく、労働党のアトリー(Clement Richard Attlee)でした。
戦争好きなチャーチルは、戦争が終結の様相を呈すると英国民から支持されなくなったのです。皮肉ですね。
下野してしまったチャーチルを、友でもある米大統領トルーマンは米国旅行に招待します。
そして、米国旅行中、チャーチルは選挙での敗戦の落ち込みを全く感じさせない程の力強い「平和の筋金」というタイトルの演説をミズーリ州のウエストミンスター大学で行いました。
その際にこんな言葉を残しています。どこかで聞いたことありませんか?
「バルト海のシュテッティンからアドリア海のトリエステまで、ヨーロッパの大陸を横切る鉄のカーテンが下ろされている。ワルシャワ、ベルリン、プラハ、ウィーン、ブタペスト、ベオグラード、ソフィア、これは我々が解放するために戦った自由なヨーロッパの姿ではない。」
とソ連(共産主義)を強く非難しました。
これがかの有名な「鉄のカーテン」演説です。
その後1946年の9月にはスイスのチューリッヒで
「ヨーロッパの姿を改めて創造し、平和と安全、そして自由のもとに住めるような環境をつくるべきだ」
という、いわゆるヨーロッパ合衆国演説を行いました。
欧州の戦後史に関わる書籍では、この1946年のチャーチルの対共産主義批判演説2つが必ずセットにして語られますが、なぜか日本の歴史の教科書では鉄のカーテン演説ばかりが取り上げられています。
[voice icon=”https://momcom.site/wp-content/uploads/2018/02/tunnel3.jpeg” name=”Yuri(ユーリ)” type=”l fb”]
P.S.
チャーチルってブラックマヨネーズの小杉と、将棋界のレジェンド加藤一二三を足して二で割った気がする。
[/voice]
【追記】2018年3月6日 チャーチル演じたゲイリーオールドマンさんがアカデミー賞主演男優賞獲得!!
おめでとうございます。ますます観たくなりました。
ちなみに日本人の特殊メイクアップアーティストの辻一弘(kazu)さんもアカデミー賞メイクアップ&スタイリング賞を受賞されています。
おめでとうございます。
チャーチルの声が響く「歴史から何も学んでいない」
ヒトラーに立ち向かった毅然(きぜん)としたイメージとは裏腹に、「生身のチャーチル」は孤立し、悩み、庶民の声に救われる。ヒトラーの猛威を前に、自身の過去の失敗が悪夢のように頭をもたげ、議会の多数を占めるヒトラー融和派に折れそうになる。知識や経験則は役に立たない。苦境の中で「歴史からは何も学べない」ことを思い知るのだ。急転直下の首相就任からの19日間にスポットを当てたこの作品にはそんな新鮮な驚きがあり、ゲイリー・オールドマンの成り切りぶりにも驚かされる。チャーチルの持ち味は心をつかむ演説の力であり、最後はこの最大の武器で議会と世論を抗戦に向けていくのだが、この映画の重心はそこに至る内心の葛藤の方に置かれている。その足跡を振り返ると、最初は保守党から議員当選。が、自由党に転身してからが長く、なんと20年。自由党内閣で海軍相として決定的な失策をおかし、保守党に戻ってからも蔵相として失敗。それまでの実績は決してほめられたものではない。足場は脆弱(ぜいじゃく)な上に、ひょうたんから駒の戦時内閣首相就任時には、保守党内は持論と正反対のヒトラー融和派が多数を占めていた。全6巻の自著「第二次世界大戦」の中にも、抗戦を決断するまでの自らの内心はつづっていない。抗戦か融和かに揺れる悩みは明かすのをはばかるほど深刻だったのだろう。ほとんどの場面で頭を30度ほど前にかしげたオールドマンの苦悩の演技が深い。2度のアカデミー賞ノミネートで知られたメーク界の第一人者、辻一弘氏は5年前に彫刻家に転身していたのだが、オールドマンのたっての願いで今作の特殊メークを引き受けた。隙のないチャーチル像にはそんな思いも詰まっている。妻クレメンティン役は「イングリッシュ・ペイシェント」(96年)のクリスティン・スコット・トーマス。秘書エリザベス役に「ベイビー・ドライバー」(17年)のリリー・ジェームス。近くにいた2人の女性のほどよいフォローを、そろって空気のように当たり前に見せている。これぞ「助演」の好演だ。チャーチルの決断のきっかけになるのが地下鉄のエピソード。議場に遅刻しそうになった彼がせっぱ詰まって乗った地下鉄で居合わせた市民たちの話に「ヒトラー許すまじ」の決意を実感する。「博士と彼女のセオリー」(14年)の脚本を手掛けたアンソニー・マクカーテン氏と「路上のソリスト」(09年)ジョー・ライト監督が付け加えたフィクションだが、世論に敏感なチャーチルの一面を映す効果的なシーンになっている。徹底抗戦の決断がなかったなら、その後の世界はどうなったのか? 歴史の「紙一重」をじわっと心に残す1本だ。【相原斎】引用:https://www.nikkansports.com/entertainment/column/aihara/news/201803010000299.html
コメント