ロシア軍スペツナヅで使用されるゴルカとは?
ゴルカ(ロシア語:Горка)とは、特殊部隊スペツナズや山岳地域などで行動する部隊の戦闘服のことです。この戦闘服は1980年代のアフガニスタン戦争でソ連軍が着用したことで有名になりました。ゴルカが生まれた背景には、国際情勢や戦争様相の原型が徐々に明らかになってきたアフガニスタン戦争時代と密接な関連があります。
ゴルカの歴史
スペツナズ装備として誕生したゴルカ
ソ連でゴルカが誕生したのは、アフガニスタン戦争の少し前だとされています。1972年、ミュンヘン・オリンピックで「黒い9月」を名乗るパレスチナ武装組織がテロ事件を起こし、イスラエルの選手11人が殺害されました。8年後にモスクワ・オリンピックを予定していたソ連は、この事件をきっかけにテロ対策の強化に着手しました。これをきっかけに国家保安委員会(KGB)スペツナズ「アルファ部隊」が新編されるとともに、テロ対策の訓練方法や特殊部隊装備の開発研究が行われ、その一環としてゴルカが誕生しました。ゴルカはジャケットとズボンの上下セットに加え、セーターや目出しニット帽ともセットとなる特殊部隊用の装備として開発されたのです。
ゴルカが早く配備されていればソ連は滅びなかった!?
1979年にソ連軍が軍事介入を行ったアフガニスタンは、欧州の平原や丘陵地帯とはまったく違う戦場でした。ソ連軍は完全に正規戦を想定した教義(戦い方)と装備になっていたためまるで戦えず、ゲリラにはソ連兵があるくカカシのように映ったようです。結局ソ連は約10年間も戦争を続けることになり、これが後のソ連崩壊の原因になったとも言われています。
1981年、ソ連軍はアフガニスタン派遣部隊であった第40軍の旅団や連隊隷下の大隊を「山岳歩兵大隊」に改編しました。兵員たちに比較的短期間の山岳訓練を施し、装備を山岳用のものに変更したのです。山岳用装備の中にはもちろんゴルカが含まれ、長引く戦争の中で兵士たちに愛用されていきました。もう少しゴルカが早く配備されれば、ソ連はまだあったかもしれません。
ゴルカのバリエーションの多さは進化の証
ソ連崩壊以降もロシア軍はチェチェンでイスラム主義武装勢力との戦いを続けることになります。チェチェンでもゴルカは愛用され、またその後の紛争を経て今日に至るまで様々な改良が施されていきました。最新のゴルカでは生地が裂けにくいリップストップという技術が導入されるなど、常にバージョンアップが試みられています。
ゴルカは国際情勢や戦争様相の激変に取り組み、最新のものを生み出そうとするソ連・ロシア軍のプロフェッショナルな知恵と工夫の象徴ということですね。
ロシア軍とゴルカにまつわる逸話
ゴルカの起源で大ゲンカしているロシア人
ゴルカの起源については、ロシアではちょっとした論争が起こっているようです。ゴルカは第二次世界大戦でドイツの山岳猟兵部隊が着用していた防寒着や、シベリアなどの先住民族が着用する防寒着を指す、いわゆる「アノラック」の派生であるとする説と、ゴルカはソ連軍が生み出した叡智の結集だとする説です。
ゴルカの上着は確かにアノラックやパーカーに似ていますし、防寒という機能上にも共通点がありますから、派生と言われれば否定し難いものがあるでしょう。しかし、それはロシア軍人には受け入れがたいことのようです。
例えば、ゴルカは衛生兵がケガをした兵士の服の中に手を入れやすいように工夫されているといった反論がなされています。アフガニスタン戦争当時のソ連軍にとってゴルカは決して安いものではありませんでしたので、ケガをする度にゴルカを切り刻まれてはたまらないといった事情もあったようです。
チェチェン戦争におけるゴルカ
1990年代、チェチェン戦争時のロシアはソ連崩壊後の混乱状態から脱出できず、非常に貧しい時代でした。当時の兵士たちに支給された装備もバラバラで、新兵の中にはNATO軍の戦闘服や建設作業員の安い作業服を与えられたケースもあったそうです。しかし、これによって様々な装備の長所や欠点が明らかになり、その後のゴルカの発展につながったと主張するところがなんともロシア人らしいところです。
例えば米軍のM65フィールドジャケットやイギリス軍のスモックコートは、ロシア軍兵士にとって「ブルジョア」戦闘服とでもいうべきものですが、その長所は素直に認め、より利便性を重視したバージョンのゴルカを作り出したとされます。最新のゴルカ(ゴルカ3以降)は軽くて通気性が高く、ポケットの数が多くなっています。
ゴルカの迷彩バリエーションについて
ゴルカには様々な色のものがありますが、基本的にはオリーブ色、もしくはやや紫がかった茶色のものが多いようです。これは草木の生い茂った森林や砂漠とも異なり、植生の薄いアフガニスタンやコーカサスの山岳地域といった、ロシア兵が戦ってきた戦場の特異さを物語るものといえるでしょう。
最近になって連邦保安庁(FSB)スペツナズなどが、米国の「マルチカム」や「カモグロム」によく似た複数の色によるパターンの迷彩柄のゴルカを着用しているようで、その影響からか、迷彩柄のゴルカも数多く生産されるようになったそうです。
ゴルカの種類まとめ
ゴルカ2
ゴルカ2は快適さに重点が置かれたモデルです。戦闘服の上に着用するゴルカ1とは異なり、ゴルカ2は通常の戦闘服として扱われました。ゴルカ2には多数のポケットがあり、パンツは(以前のように)オーバーオールの形ではなく、サスペンダーで着用するタイプになっています。
ゴルカ3
ゴルカ3は最も人気があるモデルです。リップストップ生地を使用し、強度と快適さを兼ね備えています。 紐によるサイズ調整も可能で、可搬性を上げたいという要望に応えポケットの数も増やされました。個人用防護セットと併用するためのゴルカ-Rや、特殊作戦用のゴルカ-バルス(барс)など、派生形も多いタイプです。
ゴルカ4
ゴルカ4はアノラックタイプのジャケットが採用されたモデルです。タクティカルリグと組み合わせた運用がカッコいいモデルです。
ゴルカ5
ゴルカ5は取り外し可能なパッドがついていたり、フードに蚊帳が装備されています。肩や背中など最も負荷がかかる場所は2層、3層とレイヤーで補強されます。
普段着にも最適なゴルカ
ロシアでゴルカはプロの軍人だけでなく、釣りや狩猟、キャンプに登山といったアウトドアや、バイク乗りの間などでも広く愛用されています。
丈夫で枝をかき分けても破れることがなく、雨風を防ぎ、また通気性にも優れているため、汗を外部に逃してくれます。ポケットも深いため、アウトドアはまさにゴルカの本領を発揮できるフィールドといえるでしょう。さらにゴルカはジャケットとズボンの上下セットでもあることから、スキーやスノボなどのスポーツにも最適です。またバイクでのツーリングにも力を発揮してくれます。
もちろん、普段着としてもゴルカは実直で野性的なスタイルを演出できる素晴らしいアイテムです。一般的なアウトドアジャケットとも一味違うゴルカは、より洗練されたイメージを周囲に与えることができます。すでに日本でもゴルカ=モテる、のイメージが浸透してきているので、着回して一味違うファッションを見せつけましょう!
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