目次
なぜ日本で「ロングスカート」が流行ったのか?
一昔前と比べて、ミニスカート姿の女性って最近あんまり見ないと思いませんか?
代わりに見るのは、ロング丈のスカートやワイドパンツを履いた女性。
ロング丈でシルエットがゆるやかなボトムスが流行りだしたのは2015年くらいからでしょうか。
実はこの「ロング丈でゆるい」ボトムスは日本だけでなく、
世界中で、同時多発的に流行ったファッションなのです。その理由は・・・
意外にも「ムスリム」ファッション市場が原因だった?
今回は、「ロング丈ブーム」の背景にある、いまアパレル業界で最も熱いムスリム市場についてお話します。
[voice icon=”https://momcom.site/wp-content/uploads/2018/02/tunnel3.jpeg” name=”ユーリ(Yuri)” type=”r fb”]ムスリムとは、イスラーム教を信仰している人のことですね。[/voice]
名だたる超一流ブランドが、喉から手が出るほど欲しいムスリム市場
ムスリム女性といえば、頭をすっぽりと覆う「ヒジャブ」が特徴的ですよね。
ヒジャブというと、黒色を基調とした暗いイメージから、ネガティブな印象も持たれがちです。
確かに昔は、ヒジャブというと地味で、落ち着いた色が主流でした。
しかし2010年代にかけてインドネシアや中東を中心に、「教義を逸脱せずにオシャレを楽しむ」文化が生まれてきました。
つまり、
- 顔と手以外は覆い隠す
- 体のラインを見せない
- 肌が透けて見えない
という、ムスリム社会で求められる最低限の条件を守ったうえで、
自由にオシャレをする動きが広まってきたのです。
明るく華やかな色のヒジャブを身に着けたり、花やアクセサリーで飾ったりと、
自分らしくヒジャブをアレンジしていますね。
実はこれが、アパレル市場にとんでもない影響をもたらしています。
アラブ首長国連邦のムスリム女性がファッションにかけるお金は月に約11万円!?
2012年3月のJETRO調査レポートによれば、
アラブ首長国連邦のムスリム女性がファッションにかける月平均は約11万円。
[voice icon=”https://momcom.site/wp-content/uploads/2018/02/tunnel3.jpeg” name=”ユーリ(Yuri)” type=”r fb”]
結構な高額ですね。ヒジャブに高級な素材を選んだり、ダイヤモンドをあしらったりもするのだとか。
[/voice]
つまり、
- 「教義を逸脱せずにオシャレを楽しむ」文化がここ10年で急激に広まる
- 世界中のムスリム女性の間で、ファッションへの関心が高まる
- ムスリムファッション市場が爆発的に大きくなる
- 中東を中心に、ムスリムには富裕層が多い
といった要因から、
BBCによればムスリム女性向けのアパレル市場規模は、
ヒジャブだけでも2020年までに3270億ドル(37.6兆円)まで拡大する見通しがあるとのこと。
ちなみにムスリム市場は、米国と中国に次いで3番目に大きい一大市場と言われているのです。
空前のムスリム市場争奪戦に参入する、あんな企業こんな企業
〇2015年、ユニクロがイギリス系ムスリムデザイナーのHana Tajimaとコラボ
東南アジア地域を中心にムスリム向けコレクションを発表。
2016年にはアメリカ、イギリス、日本、中国、韓国と次々に販路を拡大。
ムスリム女性に限らずあらゆる人が日常使いできるような「露出度が低く、気品のあるデザイン」を展開します。
〇2016年1月に、ドルチェ&ガッバーナが富裕層向けのヒジャブ市場へ参入
写真を見て感じるように、とにかく現代的でカッコいい!
D&Gのような高級ブランドが富裕層向けに高値で商品展開は賛否両論あるようですが、
かなりモードな、新しいムスリム女性像を提案することでさらなるマーケット拡大を狙っています。
〇トミー・ヒルフィガーやダナ・キャラン・ニューヨークはムスリム向けのラマダンコレクションを展開
ラマダンは、ムスリム女性が1年で最も服や靴を購入する時期といわれています。
トミー・ヒルフィガーなどの人気ブランドは、そこに焦点を絞ったラマダン戦略を取っています。
すでにお気づきの方もいるかと思いますが、
こうした超一流ブランドによるムスリム市場参入合戦が起こった2015年~2016年というのは、
日本でロング丈が流行りはじめた時期と重なっています。
ロングスカートの由来はムスリムファッション?だった説
英国タイムズ紙によれば、
ムスリムファッションはファッション業界全体にも影響を与えており、
全世界でロングスカートや丈の長いカーディガンが流行したのはその一例とのこと。
まとめ
日本をはじめ全世界で流行したロング丈のボトムスは、ムスリムファッションの流れを汲んだもの。
その裏には、莫大なポテンシャルを秘めるムスリム市場を奪い合う、アパレル業界の激戦事情があるのでした。
コメント